科学

なぜ靴ひもはほどけるの?

まず答え

靴ひもは、歩くたびに靴が地面へ当たる衝撃で結び目が少しゆるみ、輪やひもの先端が揺れることで、ひもが結び目から少しずつ引き出されるため、ほどけることがあります。最初はゆっくり進みますが、最後は急にほどけます。

30秒でわかる

歩いているときは、足が地面に着くたびに靴と結び目へ衝撃が伝わります。同時に、輪とひもの先端は足の動きに合わせて前後へ振られます。

この衝撃と揺れが何度も加わると、ひも同士の摩擦だけでは動きを止めきれないことがあります。ひもの先端が少し抜けると、次の揺れでさらに抜けやすくなります。

そもそも結び目とは?

結び目は、ひもを交差させたり折り返したりして、ひも同士を押しつける構造です。ひも同士が押し合う力と摩擦が、ひもがすべるのを防いでいます。

ただし、結び目は固い部品で固定されているわけではありません。ひもに繰り返し力が加わり、結び目の形が変わると、摩擦が弱くなってひもが動きやすくなります。

歩いていると何が起きるの?

ポイントの一つは、慣性です。慣性とは、動いているものがその動きを続けようとする性質です。足の向きが変わっても、輪やひもの先端はすぐには止まらず、前へ進もうとします。

もう一つは、靴が地面へ当たる衝撃です。衝撃によって結び目の中心が一時的に変形し、揺れている輪や先端が結び目を開く方向へ動くことがあります。すると、ひもの先端が結び目の中をすべりやすくなります。

なぜ急にほどけるの?

ほどけ始めは、ひもの先端がほんの少し動くだけです。しかし、先端が長くなる一方で輪は小さくなるため、揺れによる力の差が大きくなります。

その結果、少しずつ進んでいたずれが、あるところから急に大きくなります。研究の高速度映像でも、長い間ほとんど変化しないあと、数歩のうちに結び目が一気にほどける様子が観察されました。

結び方によって違うの?

違います。結び目の形が、ほどけやすさに影響します。ある研究では、中心が平らに締まりやすいスクエアノットをもとにした形と、締めるとねじれやすいグラニーノットをもとにした形を比べました。後者の「弱い結び目」のほうが、歩行に似た繰り返しの衝撃でほどけやすい結果になりました。

ただし、強い形なら絶対にほどけないわけではありません。ひもの長さや素材、結び目の締め方、歩き方や靴の形など、さまざまな条件が関係します。

よくある勘違い

靴ひもがほどけるのは、単に「歩く振動」があるからだけではありません。少なくともこの研究の実験では、足踏みだけ、または靴を振るだけよりも、地面への衝撃とひもの揺れが組み合わさったときに、ほどける仕組みが説明されました。

また、結び目が切れているわけでもありません。多くの場合は、ひもが結び目の中心をすべって抜け、結び目の構造が崩れています。

実は……

靴ひものほどけ方には、「少しずつゆるむ」と「最後に一気に崩れる」という二つの段階があります。身近な小さな現象ですが、動くひも、摩擦、衝撃、慣性が組み合わさった力学の問題として研究されています。

参考資料