HTML

<small> is an inline element that marks side-remarks such as notes, disclaimers, or copyright notices and displays the text at a relatively smaller size.

small 要素

<small> 要素とは

<small> は 「付随情報(fine-print)」を示すインライン要素 です。視覚的には文字サイズを相対的に小さくしますが、最大のポイントは「大きさ ではなく 意味 を伝えるセマンティック要素」であることです。HTML Living Standard では “side comments, legal restrictions, or copyright notices” など本文と区別される補足文に使うよう定義されています。

仕様とセマンティクスを深掘り

カテゴリー
フローコンテンツ/フレージングコンテンツ(インライン)
許可される子
フレージングコンテンツ(インライン要素・テキストなど)
グローバル属性
すべて使用可能(class, id, style, data-* など)
ARIA ロール
既定なし(適切に意味を持つため追加ロール不要)
アクセシビリティツリーへの影響
文字サイズ変化のみ。スクリーンリーダーは通常読み上げトーンを変えない

サイズを下げるだけでなく「本文の主旨から一歩引いた情報」という意味が付与される点が、単なる CSS での font-size 指定と大きく異なります。

デフォルト表示とフォントサイズ計算

ブラウザ既定値

多くのブラウザで親要素の font-size0.8em (80 %) に縮小します。

ただし ユーザースタイルシート や アクセシビリティ拡大設定 が優先される点に注意。

重ね掛けルール

連続する <small><small>… はネストごとに 80 % を掛け算。深いネストは可読性が急激に低下するため 2 段以内 に留めるのが実務上の目安です。

HTML

<p>通常文 <small>補足 <small>さらに補足</small></small></p>

最低限覚えたい使用例

著作権表記

HTML

<footer>
	<p><small>© 2025 YourCompany Inc. All rights reserved.</small></p>
</footer>

規約・免責

HTML

<p>本サービスは現在β版です。
	<small>※内容は予告なく変更される場合があります。</small>
</p>

フォーム注釈

HTML

<label>
	Email
	<input type="email" required>
	<small>例: user@example.com</small>
</label>

アクセシビリティとユーザビリティ配慮

最小フォントサイズ
WCAG では 視覚障害者がズームせず読める ことが要件。rem 指定や clamp() で下限を確保
コントラスト
小さい文字ほど対比比率がシビア。AA 準拠なら 4.5:1 以上を目安に色設定
行間 (line-height)
サイズダウン時は相対的に行間が詰まるので 1.4~1.6 程度に上書き

CSS

small {
	font-size: clamp(.75rem, 0.8em, 0.85rem);
	line-height: 1.45;
}

スタイリングテクニック集

変数化で一元管理

CSS

:root { --fine-print-size: 0.8em; }
small { font-size: var(--fine-print-size); }

メディアクエリで可読性強化

CSS

@media (max-width: 320px) {
	small { font-size: 0.9em; } /* 極小画面は縮小率を緩和 */
}

印刷スタイルの最適化

CSS

@media print {
	small {
		font-size: 90%;          /* 低解像度プリンタで潰れないよう拡大 */
		color: black !important; /* カラー → モノクロ変換で薄灰が消えるのを防止 */
	}
}

よくある誤用とアンチパターン

単なる強調目的 に小さく表示するだけなら CSS で font-size

脚注番号 …より意味的に適切なのは <sup> (上付き) や <a href="#fn1">

SEO 煽り のため本文キーワードを <small> で埋める ― 無意味どころか可読性・UX を損ないます。

<small> と関連要素の相互比較

要素 主用途 アクセシビリティ デフォルト表示
<small> 補足・免責・コピーライト 特別な読み上げ変化なし 80 %
<sub> / <sup> 化学式・脚注番号 SR は「sub/sup」と読み上げる実装も 83 %
CSS font-size 視覚的縮小のみ 意味付けなし 任意
<aside> (ブロック) 本文外の注釈 地の文から分離されたランドマーク ブロック

実務での応用シナリオ

EC サイトの価格表示
「税込」「送料別」などを <small> で明示。スクリーンリーダーでは同列に読まれつつ視覚的に区別。
ニュース記事の更新日時
更新履歴を <small> で括ると本文との階層差が一目瞭然。
UI ラベル内のヒント
フォーム内ヒントや「必須」マークなど、過度な視覚ノイズを低減しながら伝達。

可読性を高める “小さな文字” のタイポグラフィ

パフォーマンス・SEO・i18n 補足

DOM 深度最小化
頻用箇所(例: テーブル大量行)では <small> 連打より行全体にクラスを与え CSS で縮小した方が描画効率が良い。
機械翻訳
<small> 内は本文でないと誤判定される恐れがあるため i18n パイプラインで”除外リスト”に要注意。
検索順位への影響
<small> 内テキストもインデックス対象。読みやすさを損なわない範囲でキーワードを含めてもペナルティはないが、乱用は UX を下げ直帰率↑→結果的に順位↓。

歴史的経緯と仕様の変遷

年代 仕様 位置づけ
1995 年
HTML 2.0
<small> 初登場 純粋に “小さく表示”
1999 年
HTML 4.01
Transitional で継続 依然プレゼンテーション寄り
2014 年
HTML5 勧告
セマンティック再定義: 法的注記などの 副次情報 と規定 意味付け明確化
現行
Living Standard
文脈依存の付随情報 80 % の既定サイズを継続

まとめ ― 適切な意味づけで UX と可読性を両立

これらを押さえれば、初心者は「小さくするタグ」から一歩進んだ “意味に基づくマークアップ” の考え方を学べ、中級者以上は 可読性・アクセシビリティ・パフォーマンス最適化 まで視野を広げられます。ぜひプロダクションコードに活かしてください。